- ゼミの先輩達の過去の報告書、卒論、修論などをみると、どのような項目、内容、レベルが必要なのかがわかるでしょう。
- ゼミではマーケティングなどの基礎知識は前提。そこまでゼミでしていたら、それだけで終わってしまう。自分で講義、本など読んで勉強すること。
- マーケティング関連科目に限らず経済学、経営学、社会学、心理学など幅広い知識、具体的なモデル、理論についての知識があれば、それを新しい(既存の研究では適用されていない)現象に適用するといった研究が可能となる。
自分の興味のあるテーマで構いませんが、濱岡の専門、興味範囲内であると、お互い、研究の効率は高くなるでしょう。テーマについては、下記に注意するとよいでしょう。
- 大きすぎない→大きすぎると3ヶ月のプロジェクト、卒論、修論ではまとめきれない
- 曖昧でない→曖昧だと どう取り組めばいいのかわからない
- 面白くない→自分や他の人も興味がもてなければ研究も続けられない
- 事例から入る場合
- ??のような現象が生じるのはなぜか?を説明したい。
- 研究から入る場合
- ??という理論、実証を追証したり、別の現象に適用したい。
- ほとんどの場合は 対象+説明のための理論・枠組み、方法を決める必要がある。
- ある現象を研究したい
- どのような枠組み、理論を用いるか?
- なぜそうなるのか?を説明する必要がある。
- 学術的な論文なので先行研究などを参考にして決定。
- 例 Fishbeinの多属性態度モデル、プロスペクト理論等々
- 例 広告について研究したい。だけでは研究できない。
- 広告の効果?
- インターネット広告とTV広告の効果の差
- 効果と云っても 認知、態度形成、、、などいくつかのポイントがある。
- 3年プロジェクト、卒論については、同じ大学生ということで興味が類似することが多いようです。 ゼミの先輩達の報告書、卒論、修論 などは最低限見ておくと良いでしょう。
- 3年プロジェクトの場合、まずは、自分や他のゼミ生が紹介した論文群のうち使えそうなものがないかを考えることが効率的。
- 読んでもらうのはそれを期待するため(濱岡が選んだものであり、下記のような基準は満たしている論文群)。
- 卒論、修論、博士論文いずれも、学術論文であり、文献レビューは必須。過去になにがわかり、逆に何が分かっていないかを明らかにする。レビューもなるべくクオリティの高いものを優先。下記を最低限、自分の研究キーワードで検索。どのようなものがあるかを把握しておくこと。
・日本語ジャーナル cinii
・英語ジャーナル keio.jpから 電子ジャーナル
我々の分野では雑誌としては下記のようなものがメジャー
- journal of marketing
- journal of marketing research
- journal of consumer research
- marketing science
- management science
- Journal of product innovation management
これらは大体、ebscohostに含まれているので、そこから自分の研究のキーワードを入れると、上記含んだものを検索、文献が一覧できる。たくさん出る場合にはacademic journal に限定。でない場合には、キーワードを変更するとか、上記雑誌の新しいものから目次をみて関連のありそうなものを探すなどしてください。pdfでダウンできたり、さらにその文献が引用しているもの、引用しているものも表示されるものもあります。雑誌によっては最新号はpdfでは提供されていませんが、主要なものは雑誌が図書館に入っているはず。
- 関連する先行研究がない場合
- (探し方が悪くなければ)ある意味チャンス→だれも研究していない。
- 新しい現象(下の例)など、そのものを扱った研究がないのは当たり前。
- そのような場合、直接関連しなくとも、利用可能な研究を探すべき。
- 例 ケータイでのLINE利用者による創造行為についての先行研究は(多分)ないはずだが、消費者による創造や、オンラインコミュニティについての研究はあるはず。それらからの知見を援用する。
- 文献情報はしっかり記述、記録しておく(著者名フルネーム、掲載誌名、年、巻、号、ページ URLなど)。再度探すのは非効率的。
下記の点からも事例研究は重要です。
- 研究/分析対象をより深く理解する。
- 研究/分析対象をより明確にする=自分の研究で説明したいのはどのような現象か。
- 既存の研究では説明できない、説明されていない現象を見いだす。
- 新たな仮説、理論の発見 grounded research
その際、一つの現象/事例についてなるべく深く調べる(新聞雑誌記事、ホームページ、インタビューなど)こと、できれば複数の事例を比較して、共通点、相違点を明確にするとよい。
- 細かい仮説を設定する前に、どのような要因(群)が関連しそうかを分類しておくと分かりやすい。
- 消費者の要因、商品の要因、コミュニティの要因
- レビューも、このような枠組に沿ってレビューすると分かりやすい。
- 主要な概念の定義
- 先行研究を参照して定義。なけらば自分で定義してもよい。
- 既存の仮説をあたらしい現象、これまでに適用されていない領域に適用する。もしくは追検証する。
- 既存の仮説では説明できない現象を説明するための仮説。
- 分析対象の特徴を反映した仮説が中心になっていることが好ましい。
- 下記のような仮説は、ほぼどんな対象にでも適用可能(消費者特性は、製品カテゴリに依存しない部分が多いためしかたない部分もあるが、製品の特性については、対象を反映させるべき)。
- オピニオン・リーダー度の高さと○○の購買意図は正の相関がある。
- 価格感度の高さと○○の購買意図は正の相関がある。
- 店舗数の多さと○○の利用意図は正の相関がある。
- ブランドイメージの高さと○○の利用意図は正の相関がある。
- 企業が直接コントロールできるような要因を含む仮説があるとインプリケーションを導出しやすい。
- データを収集して仮説を検定する。
- 概念に相応しいワーディングで測定。
- 適切な分析、解釈。
- どのような研究をするかを説明。項目例
- 研究題目
- 研究の背景、目的
- (自分が興味をもつきっかけとなった)事例の紹介
- 問題意識の明確化
- 研究の目的
- 文献レビュー
- 事例研究
- 事例の記述
- 事例のまとめや既存の研究で説明できる点、できない点
- 問題設定
- 理論,構成概念,仮説
- リサーチ・デザイン
- 母集団、標本集団
- データ収集方法
- 測定方法 instrumentation
- 発表の予定、目標
- 参考文献reference
- 参考)(Doctoral) Research Proposalの構成について
- 田村正紀 (2006), リサーチ・デザイン 経営知識創造の基本技術: 白桃書房
- 詳細については論文のまとめ方も参照。
- 仮説検定の手順についてはここも参照。