濱岡ゼミ(マーケティング・サイエンス)の活動方針など

 マーケティング・サイエンスの本にはややこしい数学、統計モデルもあります。それぐらいできる人がでてきて欲しいとも思いますが、学部のゼミでは、(興味深い)仮説を導出し、それを正しい方法で統計的に検定できるようになることを目標としています。

鵜飼生産理論(迂回ではない) by 濱岡(下記のフンボルト理念を参照)
 鵜をうまくしこめば、自分で魚を捕れなくとも、鵜を放せばとってきてくれる。
 クビにひもを付けたりはしませんが、そのような感じでいろんなネタを拾ってきてくれるひと。できれば一緒に研究できるようなひとが来てくれればよいなあと。
注)フンボルト理念
 大学での教育と研究は統合されるべきという理念。ベルリン大学はこの理念に基づいて設立された。19世紀ドイツでの化学研究などの成果は、大学教員と学部学生によるものだという。日本も近代化に際してドイツから多くを取り入れ、大学にもこれが取り入れられたわけです。詳細は 潮木守一「ドイツの大学」講談社学術文庫 参照
 分野によっては、このようなことは難しいのですが、マーケティングでは、、、、、ケータイ、インターネット、、、裏原、、、。実にさまざまな現象が生じています。 新しい現象を、古い理論で説明できることもあるのですが、新しい現象の記述・記録、そして理論化など学生の皆さんと一緒にできれば、、と考えています。

 基礎的な研究スキルを短時間で身につけてもらうため、概ね次のような手順で進めてきました。
 
研究トピックの決定
 
私もいくつかアイディアを出します。皆さんからも募ります。3年前期は、私のアイディアが採用されることが多いようです。
 
先行研究のレビュー
 
本を輪読するのは時間がかかる割に得られるものが少ないので、各自で適宜やってください。ここでは、テーマに関連するアカデミックな論文を中心に読んでもらいます。これまでにわかっていること、わかっていないことを明らかにしてもらうことが必要です。
Stand on the shoulders of giants (Newtonの言葉: 我々の研究や知識は過去の賢人、巨人が構築してきたものの上に載っかっている、ということ)
 事例の探索
 過去の研究だけだと息がつまる&マーケティング現象は常に新しいことが生じているので、トピックに関連した事例を集めて、そこから新しい仮説や、これまでの理論では説明できない点などを考察する。
 仮説の設定
 これらを踏まえて仮説を設定。当たり前のことから、斬新なものまで。仮説は自由に設定してよいのでは。ただし、検証(反証)できるという観点も重要。
 調査票の設計
 仮説を設定しただけではなく、自分で実証してみましょう。アンケートを実施します。  仮説を検証するためには、仮説に含まれている構成概念を的確に測定し、統計的な分析によって検定することが必要です。アンケートの調査票の設計、分析計画などを考えることが必要です。
 調査の実施と分析
 マーケティング・サイエンスという本を読むと、ややこしい数式がでてきますが、手法、モデルとしてややこしいものは求めません。たいていの仮説は回帰分析ができれば、検証できます。
 考察
 支持された仮説よりも、支持されなかった仮説があるほうが、考察としては面白くなる。&今後の展開も期待できる。


マーケティング・サイエンスについての入門書
陸正(1994),『変わる消費者、変わる商品』,中公新書
 花王の元調査部長による、花王でのマーケティングサイエンスの実践例
Urban, Glen L., John R. Hauser,and Nikhilesh Dholakia(1987)Essentials of New Product Management,Prentice Hall: NJ(林広茂、中島望、小川孔輔、山中正彦訳『プロダクト・マネジメント』プレジデント社、1989年)
 新製品の開発、導入の際に行われるマーケティングリサーチ手法が述べられている。事例も豊富で数式も出てこずわかりやすく書かれたもの。
古川 、阿部、守口(2003)『 マーケティング・サイエンス入門ム市場対応の科学的マネジメント』有斐閣アルマ
 構成はコトラーの教科書に則っている。マーケティング・サイエンスのモデルを中心に紹介している。
背伸びしたい人
片平(1987)『 マーケティング・サイエンス』東京大学出版会
 とりあえず記念にみておいてください

 統計ソフト R
 オープンソース・ソフトウエアで無料、Winのみでなくmac, linuxなどでも使えます。ということもあり、Rを薦めています。
 たいていの手法(回帰、因子分析、クラスタ分析、共分散構造分析、同時方程式モデル、時系列モデル、、、)はカバーされています。また、最適化ルーチンもあるので、自分なりのモデルをつくって最尤法で推定といったことが簡単にできます
入ゼミ時点では使える必要はありません。ゼミに入れば使わざるを得なくなります。
まずRを使えるようにするには、
Rをダウンロード(日本でのミラーサイト)
 20MBぐらいの大きさ。クリックすればほぼ自動でインストールされますが、わからない場合は、
船尾さんによるR-Tips をみつつインストール
1+2 5/4 demo() demo(graph) などと入力してみましょう。 さらに詳しく知りたい人は、下記を参照しつついじってみてください
Rproject (Rプロジェクトのホームページ 英語)
日本のユーザによるWikiページ
濱岡ゼミHP
濱岡のページ:2002年度 情報処理3(データとの対話)Rを使った分析



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