ミクロマーケティング各論(マーケティング意思決定論)
1205日分講義への意見・質問
→ ミネラル麦茶の広告には、大昔から「松島トモ子」が出ていますね。私の先輩の話(お兄さんが同社の社長の娘婿だそうです)によると、社長が彼女のファンだから、使い続けているそうです。広告については、このような経営者の個人的な好みが反映されることがあるように思います(社長がF1を運転する美容整形外科、美女に囲まれて談笑する絵画商や技術商社:これはクビにされたが、つい先日も別会社をつくり日経の見開き2面広告を出していた。)。
タレントについては、好きなタレントが出ている→広告への態度が良好になる→ブランドへの態度が良好になるという一定の効果はあるでしょう。
上のような個人的な効果だけではなくて、有名タレントが出演するという話題性という点や、流通への効果というものもあるでしょう(同じ2000GRPでも有名タレントを使っている方が、力を入れているというシグナルになる)。
Q:広告の効果は外部効果が大きいのでは? 「無人くん」「ひっこしのサカイ」などは流行ったおかげで予想以上の効果を上げたのでは?
→CMの話題性というのも重要ですね。しかし、どのような広告が話題になるのかということを予測するのも、これまた難しい話ですね。ところで「ひっこしのサカイ」については、「勉強しまっせ...」で話題になった後、「引っ越しのサカイは皆様の荷物を大切に運んでいます」というような、イメージ広告風に変更したのを覚えていますか?しかし、その試みは定着せず、もとのような形に戻ってしまいました。ブランド(この場合は企業)と広告表現の一貫性を保つことはやはり重要です。
Q: アコムからリクルート用のDMが来たが無人くんのカレンダーが入っていた。
→ いろんなところに使ってますね。本店や店舗に行って、そのイメージが一貫しているかどうかを確認してみて下さい。
Q:コーポレートブランドについての研究があまりなされていないときいたことがあるが、どうなのか?ブランドエクイティ論をコーポレートブランドに適用できるのか?
→ 製品の属性云々については研究されていますが、「ブランド」についての研究、さらに「複数のブランドをどう扱うか」中でも「企業ブランド」をどう扱うかという研究は極めて限られています。やってみて下さい。
ブランドエクイティ論の本を書いたAakerは2冊目のブランドの本「Building
Strong Brand」の中でブランドアイデンティティという概念を提示しています。それを構築するための手順の図を見ると(教材プリントp.142)、「組織」としてのブランドという部分があります。組織=企業と考えれば、企業そのものをブランドとして強化していくという意味で、企業ブランドにも通じる部分があるでしょう。
Q: TVで日清食品が「日清スパ王」といった形で提供するようになったが、これは規制緩和されてできるようになったのか?
他社が追随しないのは、効果が得られないためなのか?
→ 最近は、この他にも「野菜中心蔵(だったと思う:とにかく冷蔵庫)」の提供というテロップも見られるようになりました。規制緩和のせいなのか私は分かりませんが、一つには「ブランド」を強化しようという動きが強まっているためだと思います。
他社が真似しないのは、ブランドについての考え方・管理の仕方の違いにあるのでしょう。日清食品はブランドマネジャー制度を採用していますが、他社は(多分)採用していないことからも、このことが読みとれます。日清はこのブランドをカップヌードルとは違う別の個別ブランドとして育成・強化しようとしているのに対して、他社は個別ブランドの強化にそこまで踏み切れない(また個別ブランド毎に広告を投入できるほどの余裕がない?)のではないでしょうか?
Q:ELMの部分で関与(動機付け、能力要因)とされていたが、これらは異なる概念では?
→ 関与が低かったり、情報処理の動機付けが弱かったり、情報処理能力が低かったりすると、情報は周辺ルートで簡単に処理されてしまうということです。講義では関与の高さのみを説明しましたが、情報処理を精緻に行うか行わないかは、これらの要因にも影響されます。
Q: たばこ(JT)のCMはなぜ行われていたのだろうか?新製品が出たから喫煙者が増加するわけでもないだろうし、共食いしてしまいそう。
→覚えてないので何ともいえませんが、 他社との競争や、女性など新規ユーザーの開拓、社内向けの激励?といった意味があったのでしょう?
Q: ブランド管理方式それぞれのメリット、デメリットは?
→配布した資料のブランド管理の相補性をみると、例えばA型ブランド管理方式は、企業ブランドを中心として、系列化されたチャネルを利用して、企業ブランドを利用してブランディングを行うときに有利になる管理方法といえるでしょう。
Q: 消費者はどれくらい、企業からのメッセージを読みとるのか?
→メッセージの伝え方にもよりますが、次のような意見が消費者の率直な意見でしょう。消費者は企業が思っているほど、自分たちのメッセージを理解していないはずです。
>Q: いろいろな広告があり、いろいろな目的があるのだということがよくわかった。
この講義では60点以上とらないと単位はあげないとプリントに約束しているので、絶望的です。
どこかの高校の先生ではないので、松茸やトコブシをもってこられても加点しません。