ミクロマーケティング各論(市場調査論)
 0523日分講義への意見・質問



1)講義の内容について

Q:統計学の意義が少しわかった。Q:統計学の授業よりも公式の説明がわかりやすかった。
Q: 回帰分析などの統計ができても、現実の世界で本当に役立つかは疑問(視聴率に苦しんで飛び降り自殺したディレクターもいた)。Q: 統計学をきちんとやっておけばよかった。Q:誤差のことがよくわからなかった。Q:数学的で難しかった。 Q: もう使わなくてもいいと思っていた統計なので結構忘れていた。やっぱり難しい。Q: 興味深かったが数式嫌いな私としてはつらくなった。
→統計学というのは、農場の生産性を上げる、よりよいビールをつくる、賭に勝つといった現実的な問題を解くために開発された分析手法を体系立てたものなのです。現実的な問題との接点を見失った統計教育には大きな問題があるといえるでしょう。

 ちなみに私も統計学は嫌いでした。必要になったので勉強しましたが、今でも自信はありません。


Q:「割合」の信頼区間の意味がよく分からない(「割合」という意味が特に)。また、 なぜ誤差の式が√[p(1-P)/n]なのかがわからない。
→あの表はメトリックな尺度(平均を出すことができる)とノンメトリックな尺度に分けたものです。割合というのは文字どおり、○をつけた人の割合です。 誤差の公式の導出などは統計学の本を参照して下さい。

 参考までにサンプリングの考え方の一例を次に示します。

 母集団は10人。そこからサンプリングして、母集団の視聴率を推定する。

 図表 10人からなる母集団(視聴率=6/10=0.6)

1 みた
2 みない

3 みた

4 みた

5 みない

6 みない

7 みない

8 みた

9 みた

10 みた

 サンプル数を3、5として、それぞれ5回づつサンプリングして、みた人の割合を計算したところ次のような結果となった。

図表 サンプルサイズ3の標本を5回抽出した結果

標本集団の

番号

標本集団1 標本集団2 標本集団3 標本集団4 標本集団5
サンプリングされたサンプル 1 みた

4 みた

7 みない

3 みた

5 みない

9 みた

7 みない

8 みた

10 みた

8 みた

9 みた

10 みた

1 みた

6 みない

7 みない

みた人の割合 2/3=0.667 2/3=0.667 2/3=0.667 3/3=1.0 1/3=0.333

図表 サンプルサイズ5の標本を5回抽出した結果

標本集団の

番号

標本集団1 標本集団2 標本集団3 標本集団4 標本集団5
サンプリングされたサンプル 1 みた
2 みない

3 みた

4 みた

5 みない

2 みない

3 みた

5 みない

7 みない

9 みた

1 みた

3 みた

4 みた

6 みない

7 みない

2 みない

3 みた

5 みない

6 みない

10 みた

5 みない

6 みない

7 みない

8 みた

9 みた

10 みた

みた人の割合 3/5=0.6 2/5=0.4 3/5=0.6

    2/5=0.4

3/5=0.6

 真値はともに0.6程度となっているが(中心極限定理)、サンプル数が小さいほど、「みた人の割合」のばらつきが大きくなっている(推定値の標準偏差(標準誤差)が大きい)。

図表 サンプリングした推定結果のまとめ

    標本数3のとき

標本数5のとき
5回分の「みた人の割合」の平均 0.6668 0.520
5回分の「みた人の割合」の標準偏差 0.2358 0.1095


Q:TVでしていた実験では300人が一番適しており、誤差もほんのわずかしかないという結果を出していた。その誤差とは標準偏差なのか?信頼区間と標準偏差の関係がいまいちよくわからなかった。
→プリントに出ている標準偏差のことです。厳密にいうと「推定値の標準誤差」になります。

 信頼区間の公式にあるように、次の関係があります。

平均値-z×推定値の標準誤差(標準偏差)<真値<平均値+z×推定値の標準誤差(標準偏差)


 私もそのような番組をみたように思います。私が見たのは、数千個の白い玉に数百個の赤い玉を一様に混ぜて、そこから例えば100個の玉を取り出して、そこに含まれている赤い玉の割合を数えるという内容です(上の例を参照して下さい)。これを一回だけでなく、何回も繰り返すと、その平均値が真の値に近づくというものでした。注意しなくてはならないのは、実際のある番組の視聴率は1度しか測定されないということです。


Q:実際のリサーチ機関では、どのようにサンプルサイズを決定しているのか?toleranceを考えているのか?経験則か?
→現実的には予算の制約でサンプル数の上限が決まることが多いのではないかと思います。


Q:n=z*z*p(1-p)/ [tolerance**2]=1.96*1.96*0.02*0.98/[0.02*0.02]のときp=0.02となっているが、pは許容度なのか?
→pは割合です。黒板には1.96*1.96*0.01*0.99/[0.02*0.02]と書いたように思いますが。

Q:黒板に書くときあちらこちらに書くので見難い。

→なるべくまとめて書くようにしましょう。




2)講義の進め方について

Q: 教科書の目次をつくって欲しい。
→先週のQAへの回答を参照。


Q: 計算ともなった分析をやらせて欲しい。
→統計の本などから適切なものを自分で探してみて下さい。



3)その他
Q: 去年のホームページにはspssのプログラムが出ていたが、今年はコンピュータは使わないのか?
→ 使いません。コンピュータについては「データとの対話」の方でしていますから。



Q: 難しくてよくわからなかった。計算問題はテストに出るのか?
→公式を覚えていれば誰でも解けるような記憶力を試す問題は出しません。





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