データとの対話
本日の講義の内容
1.データとの対話のプロセス
2.データとの対話の前提
3.データを集める。
1.データとの対話のプロセス
- 1)商学におけるいろいろなデータ
- 財務データ
- 経済統計
- アンケートデータ
→この講義「(数字)データ」との対話
もともと数字で表現されている。
数字で表現されていないデータを数字で表現する。
これらの数字データをどう扱うか?
2)データの使い方のいろいろな例:研究事例の分類
教材プリントの研究事例をあえて分類してみると
- 仮説を発見する、考えるきっかけとなるデータ
- 石川経夫(1993),「日本の労働市場の構造 賃金二重構造の理論的検討」,(伊丹、加護野、伊藤編『リーディングス 日本の企業システム 第3巻 人的資源』),p.248-275
- 篠原三代平(1994),『戦後50年の景気循環 日本経済のダイナミズムを探る』,日本経済新聞社
- よく用いられるのは
- 記述統計分析(その一つとしての探索的データ分析→グラフ等を用いてデータの特徴を見いだす。)
- 事実を記述するためのデータ
特に仮説はもたない。
・どの要因が広告効果を高めるかを回帰分析によって分析する。
ある要因が広告効果を高めるといった仮説は規定されていない。
・アンケートを行って日米の経営の特徴を比較する。
日本の方が長期志向であるといった仮説は設定されていないが、市場環境、組織構造、組織革新などの点を比較するという点については、先行研究の理論的枠組みを参照している。
- 加護野、野中、榊原、奥村(1993),「日米企業の戦略と組織」,(伊丹、加護野、伊藤編『リーディングス 日本の企業システム 第2巻』),p.107-144
- Stewart, David W. and David H. Furse(1986),Effective
Television Advertising,D.C.Heath and Company (堀健司郎訳『成功するテレビ広告』日経広告研究所)
- 中村青志(1993),「企業ランキングの変遷 鉱工業上位100社と運輸・電気・ガス業上位30社」,(伊丹、加護野、伊藤編『リーディングス 日本の企業システム 第4巻 企業と市場』),p.341-379
- 田村正紀(1986),『日本型流通システム』,千倉書房
- 渡部久哲(1994),「消費者行動と価値観の変化」,(飽戸弘編著『消費行動の社会心理学』福村書店),p.152-172
- よく用いられるのは
- 記述統計分析:母集団の特徴を記述する。
- 推測統計分析:母集団からのサンプルによって母集団の特徴を推測する。
- 仮説を検証するためのデータ
仮説を設定して、それを検証(検定)するためのデータを収集、分析する。
- 成生達彦、鳥居昭夫(1996),「流通における継続的取引関係」,(伊藤秀史編『日本の企業システム』東京大学出版会),p.183-214
- 小田切宏之(1989),「利益率と競争性」,今井賢一、小宮隆太郎編『日本の企業』東京大学出版会、1989年,p.215-233
- よく用いられるのは
- 記述統計分析:母集団の特徴を記述する。
- 推測統計分析:母集団からのサンプルによって母集団の特徴を推測する(仮説検定が重要に)。
- 2)データとの対話の「プロセス」
理論枠組み(仮説の設定) ←→ 結果の報告
↓↑ ↓↑
データの収集 ←→ データの分析、解釈
2.データとの対話の前提
1)理論的枠組み・仮説の重要性
例1 アインシュタインの相対性理論と水星の近日点の観測
例2「眼は、それが探し求めているもの以外は見ることができない。探し求めているものは、もともと心の中にあったものである(フランスの警察の科学的犯罪捜査法学校のスローガン)」[村上陽一郎(1974:1986),『近代科学を超えて』,日本経済新聞社(講談社学術文庫に収録、1986年,p.32)]
→見ようと思ったものしか見えない→理論的枠組み・仮説は重要
→二次データを利用する際、そのデータがいかなる目的で収集されたかを把握しておくことが必要。
事実(データ) ←→ 理論的枠組み・仮説
自分たちが何を見たいのか・知りたいのかを明確にすることが必要。
そうすることのメリット:無駄、的外れな分析をする必要がなくなる。
そうすることのデメリット: 仮説についてのデータしかみえなくなる?
新しい発見がされにくくなる?
そのためには?
分析対象とする現象、それを扱う学問分野の知識を身につけておくことが必要。
→各自で身につけること(参考:プリント教材の研究事例集、参考文献としてあげたもの)。
理論的な枠組み(仮説として規定される場合もある)
↓ ↑
データの収集、解釈、分析手法・モデル:この講義でのテーマ
- 3.データを集める(プリント参照)。
- 3.1 データの種類
- 3.2 2次データの収集方法
- 例 wwwからのデータの入手
- 3.3 1次データの収集方法
- アンケート調査の方法
- 内容分析)定性的なデータを定量的データにする方法
次回
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