- 「政策による科学のゆがみ・研究不正」に関するシンポジウム
- 2023年4月16日(日) 14:00-17:00オンライン開催予定。
- 公刊した論文
- Tanimoto, Yoh, Yutaka Hamaoka, Kyo Kageura, Shin‑ichi Kurokawa, Jun Makino, Masaki Oshikawa(2022) ”The mishandling of scientifically flawed articles about radiation exposure, retracted for ethical reasons, impedes understanding of the scientific issues pointed out by Letters to the Editor,” The Journal of Scientific Practice and Integrity (英語論文へのリンク)
- 論文の概要、位置づけ
- この論文の対象となった「倫理的な理由で撤回された論文(以下、原論文と称します)」は、福島県伊達市の全市民を対象に収集された個人被ばく量と、航空機から測定した空間線量率を関連付けたものです。日本政府は航空機から測定した空間線量率×0.6として被ばく量の予測を行ってきましたが、原論文はこの値が0.15程度であるとしていました。それが本当であれば、予測される被ばく量も4分の1程度となり、避難や除染する区域を大きく減少させることが可能です。
- 我々は原論文の科学的、倫理的な問題点(不自然なデータの分布、伊達市から提供されていない期間のデータがプロットされていること、0.15が過小評価であることなど)を4つのレターとして投稿し、採択もしくは、暫定的採択されました。しかし、原論文を掲載し、レターを(暫定的)受理した学会誌(英国放射線防護協会の学会誌)は、これらのレターを掲載せず、研究不同意者のデータを利用した「研究倫理違反」のみを問題として、原論文を撤回しました。このため、原論文は科学的には問題がないかのように扱われ、「場の線量から個人線量」「(科学者と市民の)共同専門知」という放射線防護政策にも影響を与え続けています。原論文が伊達市長の依頼で執筆されたこと、原著者は論文公開前に、分析結果を原子力規制委員長に送り、その前後で論文の結論が変わったことも明らかになっており、「エビデンスに基づいた政策決定(EBPM)」ではなく「政策のためのエビデンスづくり(PBEM)」のために論文が書かれた可能性があります。公開された論文は、これら一連の経緯と政策との関係についても明らかにしています。
- このように、本論文が取り扱うテーマは、科学や政策にかかわる重大な問題であるため、この論文を手がかりとして、4月以降、政策による科学のゆがみ・研究不正に関するシンポジウムを開催予定です。
- 科学の健全な発展を望む会ホームページ
- 2022/03の記者発表資料、2019年に行ったシンポジウムの資料、動画なども。
- 岩波書店『科学』 『ゆがむ被ばく線量評価』特設サイト
- 2つの宮崎早野論文、我々の批判レター(英語、日本語)、研究不正に関しての資料などが公開されています。
- 東京大学大学院教育学研究科 影浦峡教授のResearchmap
- 関連論文へのリンクおよび研究ブログに関連事項を書かれています。こちらから上記論文(日本語)も公開されています。
- 2023年3月8日(水) 15時からオンライン記者発表を行います。→終了しました。約40名にご参加頂きました。ありがとうございました。
- 採択された論文の概要、科学のゆがみ・研究不正、特に放射線防護政策における位置づけ、シンポジウムの概要説明のための記者発表を行いますので、ご参集下さい。
- 参加ご希望の方は(記者ではない方も参加いただけますが、当日の運営は記者の方への対応を優先させて頂きます。)
- 氏名、メールアドレスを入力して頂ければ、参加のためのURLが表示されます。[こちらから|終了しました)
- 当日の資料、録画(解説部分のみ)は下の「科学の健全な発展を望む会」に公開しました。